Bispo!+通信 支える人特集「有志による野球肘検診がスタート」

2021-03-24

3月20日(土)多賀町立滝宮スポーツ公園にて、彦根学童野球連盟に所属し検診を希望したチームに対し、少年野球の野球肘検診が行われました。近畿圏でも奈良県や京都府は先駆的に行われてきましたが、滋賀県では初めての試みでした。

長浜でパーソナルジムPHYSIOを運営し、企画から当日の検診まで参加された理学療法士の辻村孝之氏にお話を伺いました。

 

 

◆野球肘検診の取組を行うまでの経緯について教えてください

 

 所属するJNOS(一般社団法人日本整形内科学研究会)の関西ブロック集会のエコーセミナーでインストラクターをしていた際に、同会に参加されていた小林博樹さん(広島外科整形外科医院 理学療法士 彦根学童野球連盟)から、「滋賀でも野球肘検診を実現したい」という相談を受けました。そして小林さんの熱意に賛同して今回県内外から整形外科医3名、理学療法士6名、柔道整復師4名、計13名の先生方にご協力いただき実現することができました。

 3月20日の検診では100名以上の選手を検診し、1名の初期の軟骨損傷を見つけてあげることができました。全国的に見ても検出率は1%程度になるそうです。

 

 

「野球肘検診」はなぜ野球少年に必要なのでしょうか

 

学童野球で一日70球の投球制限が始まり、オーバーワークによる怪我に対する意識が高まっていますが、野球肘の障害の中でも外側型と呼ばれる離断性骨軟骨炎は、症状が出てからでは発見が遅れ手遅れになることが問題になっています。超音波エコー診断装置を使った肘の検診によって選手に自覚がなくても病態発見につなげることができます。早期発見し、将来肘を壊さず活躍できるように、また「プロ野球選手を育てるためではなく、大人になった時に肘の変形でつきたい仕事ができないということを防ぐこと」も野球肘検診の重要なポイントです。

 

 

「野球肘検診」では具体的にどのようなことをするのでしょうか

 

今回は超音波診断装置(日立社製ARIETTA Prologue(日本シグマックス社協力))を用い、ひじを伸ばした状態と曲げた状態で骨や軟骨の状態を確認します。異常所見がある選手には理学療法士や柔道整復師などが身体評価を実施。その後、滋賀県内の整形外科での精密検査や治療、練習量の調整やリハビリなどによる医学的管理に基づき、より良いパフォーマンスでの復帰を目指します。

 

 

今後の取組予定について

 

今回は10年間野球肘検診を実施している奈良県から2名、京都府から1名のスポーツ整形の整形外科医にご賛同いただき検診に来ていただくことができました。今後も滋賀県における野球肘検診の取組が持続可能なものとなるように、関係機関にもご賛同を得られるよう努力をしていきたいと考えます。また将来は社団法人として活動していければと考えており、今回の取組の代表者である理学療法士と連携し活動していきたいと思います。

辻村 孝之 氏 集合写真前列左から2人目

小林 博樹 氏 集合写真前列左から4人目

 

 

 

ご自身の取組について

私事ですが、一昨年、健康経営エキスパートアドバイザーの資格を取得し、肩こり腰痛の予防改善から健康経営をサポートする合同会社PROWELLを立ち上げました。青少年スポーツや学校教育などの分野においても私の特異な経験を活かせるなら、傷害予防や、学校教育における姿勢の教室などの取組を行っていきたいと考えています。

 

 

辻村氏より

スポ―ツ傷害も健康寿命に関わる慢性痛も、早期発見し、因果関係を理解することができれば大変な経験をせずに済みます。予防に勝る治療はありません。一日24時間という与えられた時間を大切にし、重症化してから名医を探す前に、信頼できる身近な先生のもとで正しい情報を整理しセルフケアに取り組み、主体的に充実した毎日を過ごしてください。

 

 

◆プロフィール

辻村 孝之(つじむら たかゆき)

長浜市出身 44歳

 平成13年 理学療法士免許取得

 平成18年 パーソナルジムPHYSIO代表

 平成24年 滋賀医大附属病院学際的痛み治療センター非常勤講師

 平成28年 日本筋膜性疼痛研究会 役員に就任

 平成30年 (一社)日本整形内科学研究会 理事に就任

 令和2年 合同会社PROWELL代表社員

 

・社会福祉法人に勤務しながら、重症化予防や健康保持増進の重要性を感じ、保険外でのリハビリやトレーニングの重要性に気づきPHYSIOを起業。PHYSIOを運営しながら、滋賀医大附属病院学際的痛み治療センター非常勤講師として痛み専門リハ外来を担当し、またファシアを研究する学術団体(一社)日本整形内科学研究会(JNOS)の理事/関西ブロック副部長も務める。

 

 

◆今回の野球肘検診について

 主催:彦根学童野球連盟 SBBCS(Shiga BaseBall Club Supports)

 協力:日本シグマックス株式会社 多賀少年野球クラブ

 

※掲載する内容について

 記載された固有名詞や数値等の正確性、適性についての内容は、当協会の見解を述べるものではありません。

※今回の取組へのお問い合わせについて

 上記の主催団体、彦根学童野球連盟またはSBBCSまでお問い合わせください。